知らなければよかった






お前なんて


知らなければ






それでも


手を 延ばしてしまった











カツカツと
薄暗い長い廊下に音が響く

ふと気配に振り返ると



闇の中に白い羽根




本来、天使は地界には来れない
堕ちでもしない限り

身体が合わないのだ



なんせ
ここは 汚れを全て引き受ける場所




そんな中に

来ることの出来る天使なんて
一人しかいない


最高責任者・・・・・トップの天使だ



それでも
相当の事が無い限り来ることはない

本来いるべきではないから
多少なりとも辛い筈だ





・・・・・・・・・・相当の事、ということか





過去ないほど
怒っているように見えた

それでもい
きなり殴ってきたりしない辺りが

天使らしい





「アトベ・・・・」





随分な事をしでかしてくれたな・・・・・と呟いた





「フジとお前の完全隔離を 要請した」





・・・・・・やはり そうきたか

想像はついていた

淫魔と花天使という組み合わせ自体
前代未聞だ





「ほぼ確定している


 が 本人の承諾を得ないと
 印を押すことが出来ない




 ・・・・・うちの天使は
 随分お前に誑かされたようで

 首を縦に振らない」





フジ・・・・・・顔が浮かぶ
泣いているだろうか





「仕方がないので
 先にこちらの承諾を取りにきた



 お前がちゃんと言えば諦めもつくだろう」





一体

何をちゃんと言えと?





・・・・・俺の想いは  ただ一つだ








「アトベ」







あの日々を



二人を



知りもしない奴らが



俺たちを 引き離す








「立場をわきまえろ

 あいつに

 お前が 相応しい訳がない」










・・・・・・そんな事

誰よりも

よくわかっている







闇に欲を操り 人を落とし 罪をつける


俺の存在で
汚すことを何度も恐れた





それでも


ふわりと軽い躰

光の下変わる表情

白い羽根

真直ぐに強く優しいあの性格も



全て 愛しくて






・・・・・・・・愛したのだ 何よりも







何も

知りなどしないくせに






「これ以上はあいつを苦しめるだけだ」





フジ・・・・・・俺には





「・・・・わかった」





いつまでも永久に





「二度と会う気はねぇ

 遊びだった




 ・・・・それで 問題ない筈だ」





お前  一人だ













「・・・・・・・・・・・・あぁ、問題ない」





冷酷無慈悲で
他者を蹴落とし用の無いものは捨てるお前が

・・・・・・・・・まさか   本気 か・・・・?












永久に




お前一人












俺の中に




咲き続ける  白い花









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